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行政書士交流会に参加したときのこと(開業前~創業期)

名古屋 行政書士
目次

開業の準備。しかし、なにをすればいいかわからない。

行政書士試験に無事合格した自分は、開業に向けての準備をはじめていた。

他の記事でも書いているのだけど、恥ずかしいことに自分はサラリーマン生活から抜け出したい一心で行政書士試験を受けて合格できたものの、行政書士が何をする人かも深くは知らなかった。

「官公署に提出する書類の作成や提出代行」

もちろん言葉ではわかっているけど、具体的にどのようなことをする仕事で、どんな人達が行政書士をやっているかも知らない。

自分は完全な独学だったから、資格学校なんかの勉強仲間もいなかったし、友達に士業関係者なんてまったくいなかった。

SNSのコミュニティに参加

そんな中、当時流行っていた国産SNSで、士業の初心者が集うコミュニティを見つける。

「士業」というくくりではあったものの、参加者はほとんどが行政書士関連の人だ。
行政書士で開業したばかりの人、行政書士試験に合格したが登録しようか迷っている人、他資格の受験をしている人、副業で行政書士をしている人などがいた。
行政書士以外は1~2割程度。司法書士さんや社労士さん、税理士さんが参加していた。

はじめは、SNS内のコミュニティで情報収集をする。
日記を書いて、足跡やコメントをもらえると嬉しかった。

他の人が開業にむけて準備をしている日記を読んだり、質問の掲示板も参考になった。

セミナー参加を決意

行政書士セミナー

あるとき、コミュニティの中で、セミナーを開催するという話が立ち上がる。
関東の行政書士の先生が来て、実務や経営についてのセミナーがあり、そのあとに交流会が予定されているという。

とても興味はあったが、怖かった。
自分は、行政書士試験に運良く合格できただけで、行政書士なんかとは程遠い生き方をしてきた。知り合いにも親戚にも士業なんていない。
友達の中に、大人になってから勉強しているやつなんて皆無だ。
行政書士の先生や、行政書士になろうとする人たちなんて、きっと自分のことなんて相手にしてくれない、浮く。そうだ、浮くに決まっている。

「自分なんかが参加して、受け入れてもらえるだろうか。」
「自分が進もうとしている世界にはどんな人達がいるんだろう。」

参加したい気持ちと怖さで揺れ動いた。

ひとまず、主催者の人にSNSを通じて興味があると伝えてみると、歓迎してもらえた。(ように感じた)
ついで、いろいろなことを質問してみた。

服装

どんな服装でいけばいいでしょうか?

本気でわからなかった。
スーツだろうか?
なら、成人式に買った派手派手しいスーツか礼服しか持っていない。

「普段着で大丈夫です。ジャケットかなんかでいいですよ。」

ジャケット?
持ってない。というか一度も着たことがない。
そもそもジャケットというのが具体的にどういうものかすらピンと来ないレベルだった。
革ジャンしかもっていない。

これはいかんと妻に相談したところ、洋服の青山へ買いにいくことになった。

下はジーンズでいいかとなったけど、ビンテージのボロボロで穴のあいたジーンズしかもっていない。仕方ないので穴のあいていない新品のやつを買った。古着じゃないジーンズなんて中学生のとき以来だろうか。

カバン

カバンもなかった。
前職で現場にもっていっていたボロボロの手さげバッグと、エウレカセブンのトートバッグしか持っていない。さすがにまずいのでカバンも買った。

名刺

「名刺、かんたんなものでいいので、もってきてくださいね。」

名刺?
まだ登録していないし、むしろ無職なんだけど、どうやって作るべきだろう?

聞いてみたところ、「行政書士有資格者」や「行政書士開業予定」のような書き方でいいと教えてもらった。

ビックカメラで用紙を買ってきて、自宅のインクジェットプリンターで自作。せっかくなので、有資格者や開業予定ということ以外も書きたいと思ったが、何を書いていいかわからない。
必死に思い悩んだ末、下記の文言を付け足した。

「内装工事(とくにガラス工事)のことなら何でもきいてください」(原文)

恐ろしいことだけど、これが当時の自分にアピールできることのすべてだった。
思い出すと冷や汗が止まらないけど、当時は本気だった。

「ガラスとガラスを接着するときは、フォートボンドという特殊な接着剤を使うんです!」というような話に、他の人が興味あると思っていたんだろう。自分のこととはいえ、なんとも健気でかわいいやつだと思う。

セミナー当日

万全の準備ができたところで、セミナー当日となった。

行政書士迷い

会場に行く途中、すでに緊張で汗が止まらない。
何度か引き返しそうかと思った。
名古屋駅からほんの数分の距離だったが、とても遠く感じる。

たった十数人と会って名刺交換をしようというだけで、こんなに怖い。
まだ会ったこともない人に、自己紹介をしたときの相手の反応を勝手に想像して怯えているのだ。なんと小さい人間なのか。

でも、引き返す訳にはいかない。
これは乗り越えなければならない壁だし、何よりも約束を破るのはよくない。

会場に向かう途中、hideさんのROCKET DIVEを聞いて自分を奮い立たせた。
hideさん、あなたがいてくれてよかった。

会場に到着

会場につく。受付はSNSで友達になっている人たちだ。
簡単に自己紹介だけして、席についてセミナーを受けた。

正直、頭が真っ白で、そのときに何のセミナーを受けたのか全然覚えてない。
ただ、その会場に行ったこと、自己紹介の順番が回ってくるのが怖くて仕方なかったことだけは強烈に覚えている。

交流会

セミナーが終わり、交流会がはじまる。
順番に名刺交換をしていく。
みんな、優しく迎えてくれた。
自分が浮いていたことは間違いないと思うけど、それを感じないくらい、みんな普通に接してくれる。

「もしかしたら、受け入れてもらえないんじゃないか」って、つまらないことを考えていたのは、自分だけだった。

きっとこの頃は自分が自分を認めてなかったから、自分は否定されるべき存在という妄想があったのかもしれない。

今になってみれば、学歴だろうが経験だろうが、無いものはどうやっても無い、嘘や見栄はすぐバレるし、そんなこと気にしているのは本人だけだ。って思えるけど、このときは怖さが大きかった。
会社でうまくいかなかったりで、負け犬根性が染み付いていたんだと思う。

行政書士飲み会

いろいろな人の話を聞けて、行政書士の開業準備中だとか、行政書士試験に合格したものの開業するか決めかねているという。自分と似た状況の人たちと知り合うことができた。

すでに開業されている先輩に、実際の仕事の様子なども教えてもらう。何よりも勇気をもらったし、悩んでいるのは自分ひとりじゃないという安心感のようなものをもらった。

初回のセミナーをきっかけに、頻繁に参加するようになる。
実務や経営の勉強会や交流会が、毎月1~2回は開催されていた。
次第にメンバーは増えていって、最大のときは100人近く参加していたような気がする。

そのうち、自分も行政書士として開業した。
メンバーとは回を重ねるごとに仲が深まり、仕事の近況報告や情報交換をした。

とくに意気投合した先生方とは、今でも一緒に仕事をしたり、交友関係が続いている人も結構いる。中には、本当にたまたまだけど、うちの行政書士法人の求人に応募してくれた人が、その会のメンバーだったこともある。もちろん採用した。

出会いに感謝

何よりもこの時期に多くの人と知り合えたのは貴重な財産になったと思う。持ち回りで勉強会の発表をやらしてもらえて、人前で話すことも体験させてもらえた。
他士業の先生方とも知り合うことができた。
この時期の出会いが、間違いなく自分の行政書士人生を支えている。

今では飲み会や交流会にはすっかりいかなくなって、仕事外の人と関わることがほとんどなくなったけど、あの頃、どんどん新しい世界が開いていったあの感覚は忘れられない。

あのとき、勇気を出してオフ会に参加した自分を褒めてあげたい。
そしてメンバーのみなさんにも感謝している。
いろいろなサークルや交流会がある中で、最初にあのサークルに参加できたことは、自分は本当に恵まれていたと思う。

サークルのみんなとは、忙しくなったりして、なかなか会えないけど、いつか同窓会できたらいいと思う。またいつか会いたい。

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