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行政書士 独学 合格体験記

平成19年1月頃だったか、以前から法律関係資格に興味を持った僕は、行政書士試験に挑戦してみることにした。

目指すのはいいのだが、どうやって勉強して良いかがわからない。
なので、インターネットで情報を調べることに。

いろいろと検索してみるも、通常の検索で出てくるのは、古い情報や胡散臭い情報商材ばかり。
これは駄目だと思い、「2ちゃんねる」で情報を収集した。
いろいろと言われている2ちゃんねるだが、情報の質は高い。
もちろん、「釣り」やデタラメな書き込みもあるので、それはこちらで見抜かなければならない。

そして、2ちゃんねるを見て出した結論が、「独学」。
最初の1年だけ独学でやってみて、それで落ちたらまた考えようって思って勉強を始めた。
この当時は、試験自体をすごく甘く考えてたのかもしれない。

1月ごろ~勉強開始

まず、いわゆる1冊本と過去問を買ってきた。
伊藤塾の「うかる!行政書士総合テキスト」と「うかる!行政書士総合問題集」の2冊。

まずはこの2冊を完璧にしようと思って頑張った。
最初はノートにまとめを作ってたけど、はっきり言って無駄だった。
ノートを作る時間があったら、間違えた問題を見直した方が良いと思う。

次に、六法が必要だと思い、行政書士用の六法を買ってきた。
やはり、六法がなくては勉強するのは辛いだろう。
それとついでに、Wセミナーの「なにがなんでも」の過去問をセットで買った。

4月ごろ~勉強開始から3ヶ月

「うかる!」を完璧にしようと思ってたけど、そう簡単に完璧にできるような分量でもない。
しかも、「うかる!」だけでは、最近の過去問に通用しないんじゃないか?って思うようになってきた。

僕が勉強を始めた前の年度から、40字程度記述式の問題も出されるようになっていた。
その問題を解けるようになるには、もっとレベルの高い教材が必要なんじゃないか?
そう考えるようになった。

ただこれは、正しかったとは言えない選択だったと思う。
この時期は基本をガッチリと固めるべきであり、基本もできてない状態でレベルを上げるのは勉強法としては良くないと今は思う。

この時期に追加購入したのが

  • 芦部憲法
  • 伊藤真 試験対策講座 行政法
  • プログレス民法ⅠⅡ
  • 公務員用過去問(民法・行政法・憲法・文章理解)
  • 田村の現代文Ⅰ

とりあえず、これだけ買ってみた。

だけど実際、遠回りをしてしまったと思う。

特に、プログレス民法なんかは、司法書士用なので、独学で基本も全然できていない僕にはとても読める代物じゃなかった。

一方、「田村の現代文」は素晴らしく、とても有用だった。文章理解の対応力をつけることができたので、この後、公務員用の過去問、資格スクールの模試、本試験と、文章理解の問題を1問も落とすことがなくなった。この時に購入した書籍の中で、間違いなく一番よかった。

6月ごろ~勉強開始から5ヶ月

結局、プログレスや試験対策講座は、辞書的に使うようになってきていた。
過去問を解いて、解説で理解できないときに調べるという使い方。
こういう使い方をできるようになると、やっぱり買っておいた事は無駄ではなかったと思えるようになった。

そしてこの頃から、基本の大切さと、それができていない事に気が付き、またまた2ちゃんねるで情報収集した。「法学検定3級 行政コース」を買って、基本からやり直すことに。

本当に基本からやり直すなら、法学検定4級からの方が良かったかもしれなけど、本試験までそれほど時間もなかったので、3級にしておいた。
これがなかなか難しくて手間取ったが、ここでここで基本に戻れたことが、合格に繋がったと思ってる。

8月ごろ~勉強開始から7ヶ月

試験範囲の全体像がぼんやりと見えてきた感じ。
ここで、ほとんど手をつけていなかった一般知識と商法の勉強を始める。

追加購入

  • わかる行政書士 一般知識テキスト
  • わかる行政書士 一般知識問題集
  • 伊藤真 商法入門

一般知識については、範囲が広すぎて、雲を掴むような勉強だった。
とにかく、出題されることが確実な、文章理解、情報通信、個人情報保護を完璧にしようと思った。
その他の部分は、基本的なところだけやって、出ればラッキーくらいに考えるようにした。
文章理解、情報通信、個人情報保護さえ全問正解すれば、足切りは食らわないだろう。

伊藤真の商法入門は、とても解りやすくて読みやすかった。
ただ、これが点数に結びついたかというとそうでもないかもしれない。
しかし、商法や会社法の全体像を掴むには素晴らしい本だと思う。

9月ごろ~勉強開始から8ヶ月

市販の模試を購入してやってみていた。
2冊買ったけど、2冊とも3回分がセットになっていたので計6回。
6回のうちで、合格ラインの180点を超えたのは1回くらいで、後は全部点数が足りない。
と言っても、所詮は市販模試なので、とは思ったけど、2ちゃんねるを見てる感じだと、みんなはもっとできているみたい。
そりゃ、当然だ。
市販模試よりも本試験の方がレベルが高いに決まってるだろう。
ここから本気で追い込みをかける事に。

1日の勉強時間を5時間に設定。

朝、仕事に行く前に1時間、帰ってから4時間。
帰宅が21時くらいになるときもよくあったので、身体的には辛かったけど、「もう来年は勉強したくない」と自分に言い聞かせてやった。
友達とも家族ともあまり話さず、遊びにも行けず、点数も伸びない。

「どうしてこんな試験を受けようと思ってしまったんだろう、もう止めたい」
「今止めたら、今までの全てが無駄になる、合格すればこの勉強からも逃れられる」

いろいろと悩んだし、精神的にも楽ではなかったけど、何よりも自分で始めた事なので意地でも続けることに。

10月ごろ~勉強開始から9ヶ月

試験1ヶ月前。
伊藤塾の山田講師の「うかる!必修項目100」とTACの40字記述の問題集を1冊買った。

それと、某資格スクールの公開模試2回を受けた。
模試の結果は、行政法や憲法はそこそこできたけど、民法は全然、一般知識もあまりできない。
というか、一般知識は無駄に難しかった。今考えても、あの難易度はありえない。
あのレベルの問題を解けるようになろうと思ったら、一般知識だけで相当の勉強をしなくてはならない。
資格スクールが、受験生に「足切り」の恐怖を煽って、単科講座や総まとめ講座などを受けさせる目的だと感じた。

これだから信用ができない。
「合格させる」事よりも、「受講させる事」が第一であって、受講生の合否は二の次。
某資格スクールとしては、いつまでも不合格で毎年講義を受けてくれる受験生や、行政書士が受かったから、今度は社労士、その次は司法書士と、いつまでも受講生でいてくれる生徒が理想なのでしょう。

まぁ、資格スクールの批判は置いておいて、模試の点数的には、2回とも少し足りないくらい。
全国順位を見ても、上から30%くらいの位置で、とても合格圏とは言えなかった。

だけど、ここであきらめる訳にも行かず、とにかく勉強を続けた。

11月~試験直前

試験直前期は、とにかく、公開模試で解けなかった問題で、正答率の高い問題を中心に、基本をやり直した。

どうしてこの問題が解けなかったのか、何を覚えれば解けるようになったのかを考えながら、ひたすら基本を頭に押し込んだ。

本試験

本試験は名古屋の名城大学で行われた。
会場に向かう地下鉄には、行政書士試験の受験生と思われる人がたくさんいて、みんな電車の中でテキスト等を読んでいた。僕も最終チェックをしたかったけど、乗り物に乗って本を読むと、乗り物酔いしてしまう体質なので諦めてじっとしていた。

本試験が始まると、手が震えて、息苦しくなって、ちょっとしたパニック状態になった。
頭が真っ白になった。
とりあえず鉛筆を置いて、2~3分間、ゆっくりと深呼吸した。

落ち着いたところで、問題を解いて行く。これがどういうことか、ほとんど答えが解る。
模試もあんなにできなかったのに、本試験の問題はスラスラと解ける。

問題を解く順番を変える人もいるみたいだけど、僕は1問目から順番にやっていった。
頭から順番にやっていって、解けた問題には○、少し自信がない問題には△、解けない問題には×を付けていく。
解けないような問題は、適当にマークシートだけ塗っておいて、読み飛ばす。
後で時間があったら、△や×の印を付けた問題を見直そうという作戦。

40字記述が心配だったけど、なんとか1問はバッチリ解った。
他の2問は、全然解らなかったけど、これは解ける受験生は少ないだろうと感じた。
一般知識も、足切りは食らわないだろうという手ごたえ。

なんとか、無事に試験を終えた。
手ごたえはあったような気がするけど、回答速報を見てみないとまだわからない。

夕方18時か19時ごろ、各資格スクールの速報が出た。
僕は記述抜きで、168点で記述が1問は正解できていたので、なんとか合格できそうだった。
後は、マークミスだけが心配だけど、そんなことはもうどうしようもない。
合格発表を待つだけだ。

1月~合格発表

行政書士試験は、試験から合格発表までがとにかく長い。
僕もいい加減待ちくたびれて、忘れかけた頃に合格発表があった。
朝一番で、会社のパソコンから合格を確認した。
会社には受験したことを伝えてなかったので、会社の人には喜びを伝えることができずに、妻にメールで伝えた。

その日の夕食は、家族で寿司を食べに行った。
嫁は喜んでくれた。
勉強ばかりしてたけど、何も言わずに応援してくれた。
本当にありがとう。

こうして僕は合格した。
そしてそれから1年間、行政書士という仕事について調べたり考えたりした結果、開業することにした。
本当は、行政書士になりたい人だけが勉強する試験だと思う。
某通信講座や資格スクールなんかが、適当な理由をつけて行政書士を勧めているが、行政書士は持っていても就職に有利になる事も少ないだろうし、そんなに簡単な試験でもない。
受けるからには、それなりの犠牲を払わないといけない試験だと思う。

なので、もしも、今、行政書士試験を受けようかどうしようかって迷っている人は、
行政書士で開業したいのか、そして、行政書士で開業して生活していけるだけの自信はあるのかという視点で考えてみてください。

以上で僕の合格体験記は終わりです。

最後に、勉強に使った書籍を載せておきますので、良かったら参考にしてみてください。


僕が試験勉強に使った書籍で、良かったと思うものだけを載せておきます。
上記の体験記に名前が出てきたけど、ここに載ってない書籍は・・・。

とても役に立った(これがなければ合格できなかった)

うかる!行政書士総合テキスト
うかる!行政書士総合問題集

この2冊は最初から最後まで使い込みました。
テキストは初学者にも解りやすく、問題集は、厳選過去問+オリジナル問題という形です。
この、「うかる!総合テキスト」に書き込みを加えて情報を集約していき、直前期には非常に役に立ちました。

法学検定3級 行政コース

基本的な勉強をするにはとても良い問題集です。
初学者の場合、本当は4級から始める方が良いらしいです。

>伊藤真 試験対策講座 行政法

買った当初は、非常に難しく思いましたが、辞書的に使っているうちに、内容が理解できるようになりました。
読み込んでみるとなかなか読みやすく、とても役に立ちました。
本試験では、行政法はほぼ満点だったんですが、この本のおかげだと思います。

新・田村の現代文講義―代々木ゼミ方式 (1)

この本と、公務員用の過去問で、文章理解が得意科目になりました。

そこそこ使えた(他の本でも良かったかも)

なにがなんでも合格行政書士過去問シリーズ

行政書士の過去問集です。
ここの出版社でなくても良いと思いますが、過去問は一通りやるべきでしょう。

公務員 過去問集 民・行・憲
民法・行政法・憲法・文章理解については、公務員用の過去問を使いました。

40字記述式問題集

僕はTACの問題集を使っていましたが、全然見当外れな問題が出ました。
40字記述が本試験に導入されて間もなかったので仕方ないでしょう。
しかし、実際に文章にして書いてみると難しいものなので、40字記述の対策は必要です。
配点も20点×3問と非常に大きいです。

行政書士 一般知識テキスト・問題集

僕は、住宅新聞社の「わかる」シリーズを使っていたのですが、勉強しても得点に結びつかないのが一般知識。
時間をかけた割には、結果は出ませんでしたが、やはり基本的なことだけは対策しておいた方が良いと思います。


おまけ

効率が良いと思った勉強法

  • 問題集を解いて、不正解や曖昧だった問題に印をつけておく
  • 常に赤ペンを持って、ラインを引きながら読んだり解いたりする
  • 気になった部分は付箋紙を貼っておく
  • 理解しきれない部分は、印だけをつけておいて飛ばす
  • 上記のように印を付けた箇所を速読(速読といっても、できるだけ早く読む程度、じっくり1回読むよりも、早く3回読んだ方が頭に入る)
  • 間違え易い箇所は、自分で問題を作ってみる
  • 2ちゃんねるで聞く

効率が悪いと思った勉強法(僕に合わなかっただけかも)

  • 六法を音読
  • ノートにまとめる
  • 新聞を読む(一般知識対策)
  • 六法やテキストに出題実績を書き込む

以上、行政書士を目指す方の参考になれば幸いです。
2009年4月